離散ハートレー変換

離散ハートレー変換で フーリエ級数と同様のシミュレーション を実施します.
ここでは変換そのものを体感しましょう.

原信の選択

定数 頂点
2頂点 3頂点
台形 傾斜
ランダム

離散ハートレー変換の実行


0th
1st, 2nd 3rd, 4th
5th, 6th 7th

スペクトルの合成

0 ⇒

解説

本プログラムでは8点の離散ハートレー変換を実行します. 原信のデータ系列\(Y\), 離散ハートレー変換\(H_n\)とすれば
スペクトル系列\(S\)の算出は(1)となります\(\left(n=8\right)\).

\(\large{S=\frac{1}{n} H_n Y} \qquad (1)\)
\(\large{ Y= \begin{bmatrix} y\left(0\right) \\ y\left(1\right) \\ y\left(2\right) \\ \vdots \\ y\left(n-1\right) \\ \end{bmatrix} }\)

離散ハートレー変換\(H_n\)(\(n×n\)行列)の各行は基底の係数列です. \(H_n\)の要素\(H_n\left(k, j\right)\)は(2)で定義されます.

\(\large{H_n\left(k, j\right)=cas\left(2\pi \frac{kj}{n}\right)=\cos \left(2\pi \frac{kj}{n} \right) + \sin \left(2\pi \frac{kj}{n} \right)}\)
\(\large{=\sqrt 2 \sin \left(2\pi \frac{kj}{n} + arctan(1, 1) \right)} \qquad (2)\)
\(\large{k, j}\): 行, 列のインデックス

このように離散ハートレー変換は余弦波と正弦波の和による基底関数となっています.
ここでは, \(\frac{1}{n} H_n\)を変換, \(H_n\)を逆変換とします. \(\frac{1}{n} H_n\)を変換とすることで原信号の信号強度として合成できる
ようになります. なお, 原信号が変換\(\Rightarrow \)逆変換で元に戻るのであれば, 変換と逆変換を入れ換えても問題ありません.
他に, 変換, 逆変換のいずれも\(\frac{1}{\sqrt n} H_n\)とすることもできます.

離散ハートレー変換には4種あり, 上記はDHT-Tです. \(H_n\)の要素\(H_n\left(k, j\right)\)と逆変換の要素\(H_n^{-1}\left(k, j\right)\)は(3)〜(10)
で定義されます.

DHT-T

\(\large{H_n\left(k, j\right)=\frac{1}{n}H_n^{-1}} \qquad (3)\)
\(\large{H_n^{-1}\left(k, j\right)=cas \left(2\pi \frac{kj}{n} \right)} \qquad (4)\)

DHT-U

\(\large{H_n\left(k, j\right)=\frac{1}{n} cas \left(2\pi \frac{k \left(2j + 1 \right)}{2n} \right)} \qquad (5)\)
\(\large{H_n^{-1}\left(k, j\right)=cas \left(2\pi \frac{\left(2k + 1 \right)j}{2n} \right)} \qquad (6)\)

DHT-V

\(\large{H_n\left(k, j\right)=\frac{1}{n} cas \left(2\pi \frac{\left(2k + 1 \right)j}{2n} \right)} \qquad (7)\)
\(\large{H_n^{-1}\left(k, j\right)=cas \left(2\pi \frac{k\left(2j + 1 \right)}{2n} \right)} \qquad (8)\)

DHT-W

\(\large{H_n\left(k, j\right)=\frac{1}{n}H_n^{-1}} \qquad (9)\)
\(\large{H_n^{-1}\left(k, j\right)=cas \left(2\pi \frac{\left( 2k + 1 \right)\left(2j + 1 \right)}{4n} \right)} \qquad (10)\)


\(\left(0 \leqq k \lt n, \quad 0 \leqq j \lt n\right)\)

DHT-UとDHT-Vは行と列が入れ換えられた形式で互いに変換, 逆変換の関係となります.
変換, 逆変換により元の信号に戻りはしますが, 離散ハートレー変換は高次の成分(高周波)が大きくなること
があります. カーブフィッティングや近似には適さない特性という印象で, 筆者は利用したことのない変換
です.